虐待等の理由で、家庭で生活の出来ない子ども達を、保護者に代わって社会が養育・保護する仕組みを「社会的養護」といいます。
現在、児童虐待の件数は年間55,000件を越え、約43,000人の子ども達が児童養護施設など社会的養護のもとで生活しています。(平成22年厚生労働省調査)
虐待。貧困。親との死別。社会的養護のもとで生活する子ども達は、人一倍ケアが必要な状態の子が殆どです。 しかし、社会的養護の中では比較的手厚い養護を受けられる児童養護施設でさえ、慢性的な人手不足でケアが行き届かないなど、早急に解決されなければならない問題を数多く抱えています。 さらには、社会的養護の枠組みからこぼれ落ちてしまい、児童養護施設にすら入れずに「自立を余儀なくされる子ども達」がいる。
この事実は、あまりにも知られていないのが現状です。
一般的に、子ども達は家庭の中で親などの保護者から経済面、精神面、教育面での庇護・バックアップを受けながら成長します。
このような庇護・バックアップを受けられない子ども達は「一定の学業」を修めるまでは児童養護施設等で過ごし、その後は自活することになります。 「一定の学業」とは、基本的に高校卒業までのこと。子ども達はまだ18歳。未成年です。 高校を中退した場合は、中退した年に。 子どもが高校に進学しなかった、できなかった場合は、わずか15歳で退所することになります。
学業を修了したら働く。一見合理的にみえますが、実際には「学校の授業についていく学力を育めなかった子」「学校や社会に順応できるだけの 生活態度についての家庭教育(=しつけ)を受けられなかった子」「精神的に不安定で療養が必要な子」など、本来より長期的なケアが必要な子 ほど早期に社会に出て自立・自活することを求められるという矛盾を抱えているのです。